毎日まだまだ寒くて、山には雪が残っているけれど、啓蟄も過ぎてそろそろ春が見つかるかしらと、昨日母の家の、日当たりの良い丘を、散策。そしたら・・・ふきのとうを発見。
この母の家。私の祖父母が建てたもので、私の子供時代の思い出が、沢山詰まっている。改築を何度か行ったために、面影はあまり残っていないけれど大切な思い出が鮮明に今でも思い出せる。
庭に毎年出てくる、このふきのとうも、私の祖母がよく摘んで、この時期、ちょっと甘くした”ふきのやきもち”と呼ばれる、パンケーキのようなものを作ってくれた。
ほんのりと香る独特のふきのにおい。子供なのに、この匂いが大好きだった。いつも病弱で、まずい薬ばかり飲んでいた私には、この苦味などはなんのその。
食事はあまり取らなくても、この”おやき”は食べた。硬くなったこの”おやき”を夕方、当時は結婚をまだせず、一緒に暮らしていたおばが、外でお風呂の火焚きをしながら、其の火の中で炙って焼いてくれた・・・・その、香ばしい香りが今でも鮮明に鼻腔に残っている。
何十年も、毎年春になると顔を出すこのふきのとう。祖母が摘む側で、犬や猫と遊びながらふきの匂いをかいだあのころがついこの間のよう・・・・・
ふきは、根で増え、其の根がなくなるまでは何十年でも、同じ場所から春顔を出す。と言う。
昨日、そんなことを思いながらふきを、いつつ、むっつ、取って、あのころの祖母よりも年を重ねた母に見せた。大好きな”おやき”を自分で作ろうと思って作り方を聞いたら、母が自分で作ると言い出した。
何事も億劫になって、気力も体力も衰えてきた母ではあるけれど、春の暖かさに背を押されたのか・・・出来上がったら電話するから・・・と言う言葉をもらって帰宅。
これは二年前の写真。ふきのとうで作った、田舎風おやき。母のおやきには白胡麻もちょっぴり入って栄養も満点。
そしてこれは、最もふきのとうの香りが楽しめる食べ方・・・てんぷら。
抹茶に塩を混ぜて、即席抹茶塩と一緒に、いただきました。
春に出回る山菜類のこの苦味は、冬の間体にたまった毒素を出してくれる重要な役目があるんだとか。春に山菜を食すのは「理にかなっている」のだ。こういうところでも自然と人間って本当に深く関わっているのだなあと、つくづく。
花は野にあるように・・・ではないけれど、人間も、旬な食べ物を食べたいときに少しだけいただくのが健康でいる秘訣かもしれない。
母を見ていてそう思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿